井原市七日市町の内科・小児科・皮膚科 ほそや医院

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起死回生の眼 - ほそや医院
私はこの四月に両目を二週間おきに白内障の手術をした。実は数年前からスライドが見にくくなっていたし、診察室でのパソコンの画面も見えづらくなっていた。知り合いの眼科の先生に診察してもらうと予想通り白内障と診断され手術を勧められた。私は最近、物が見えにくいことがストレスに感じていたので直ぐに、手術をしてくれる病院を紹介してもらった。私が紹介していただいた病院はアイセンターと呼ばれ眼科だけで4階建ての建物だった。その大きさや設備に私は驚いた。白内障は加齢によるものがほとんどである。水晶体が濁るため視力低下やまぶしいといった症状が出る病気が白内障である。手術方法は超音波乳化吸引術(PEA)で、小さな切開(2.4ミリ程度)を眼球に入れた後、水晶体の前嚢を切り取り、水晶体の核と皮質を超音波で砕き吸引して取り出す。その後で残した嚢の中に眼内レンズを挿入するといった術式である。手術に当たっては術前1か月前から血液検査、眼底検査、眼圧検査、角膜曲率半径計測、細隙灯顕微鏡検査、超音波検査、角膜内皮細胞顕微鏡検査を行うことになる。術前7日前には再度同様な検査をして最終的に私にあったオーダーメイドの眼内レンズを準備することになる。私の場合はもともと近視があるため、近視を残して裸眼で30センチ前後が見えるようにして遠くはメガネを用意する方法を選択した。手術自体麻酔は局所麻酔(点眼麻酔)で痛みはほとんどなく、約15分程度で手術は終わる。しかし、術前術後の管理が結構面倒である。手術3日前から手術当日まで抗菌薬の点眼を一日4回点眼し、術後2日間は洗顔と洗髪は禁止。術後の点眼は3種類の眼薬を先生の指示通り点眼する必要がある。私の好きなプールもゴルフも一か月は禁止と言われたのは少々辛かったがお陰で裸眼0.6、メガネの矯正で1.2の視力を獲得できたことはこの上なくうれしい。
いつものゴルフ仲間(小学生からの友人と高校時代の友人)が5月24日に今年初めてのゴルフに誘ってくれた。コースに出て気が付いたがこれまでと違ってグリーンや周りの景色がやたら明るい。そして、打ったボールがどこにあるかがよく見える。ボールを探す手間がないのでストレスがなく、これまでよりゴルフが楽しかった。この時も、白内障の手術をしてよかったと思った。更にはプールに行っても今まではプール内の時計の文字盤が見えづらくて困っていたが今ではよくみえる。しかも泳いでいる人の顔も良く見える。野球観戦に先日甲子園に行ってきたが球場のスコアボードも良く見えた。これまでは双眼鏡を用意していたことがうそのようである。そういうわけで、私は起死回生の眼を勝ち取ったのだ。
最近、直木賞を受賞された作家窪美澄さんのエッセイ「自分だけの小部屋」の一節に下記の記載があった。中略<それでも、その小部屋は私にとって、家族と言うしがらみ(幸せではあったがそれは重石でもあった)を一瞬でも忘れさせてくれる部屋であり、何かあれば心を慰撫し、回復させてくれる場所でもあった。>実は私もこれと似たことをしている。スポーツジムのプールの中をゆっくり歩きながら、我が身に降りかかる出来事やこれからのこと家族のこといろんなことを思い出し、考え時には今後のことを空想いや妄想に近いことを頭の中に投射している。私にとってこれこそが、私の心の安寧なのだ。