井原市七日市町の内科・小児科・皮膚科 ほそや医院

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態度価値 - ほそや医院

秋田新潟のひとり旅をして、早半年になろうとしている。この件に関しては、ほそや医院ホームページのブログに詳しく記載しているので、ぜひ読んでほしい。秋田から新潟までは特急いなほを利用した。私はどうしても羽越本線に乗って昼間の日本海の海岸沿いを観たかったからである。実は私は22年前に家族5人で大阪から札幌までトワイライトエクスプレスに乗ったことがある。その頃は末娘が高校生で長男長女は大学生だった。私は開業5年目で忙しくしていたころである。この特急電車の売りは直江津から柏崎間の信越本線で日本海に沈む夕日を見ながら食堂車でフランス料理が食べられることだ。日本海に沈む太陽を見ていると寂寥を感じてしまった事を覚えている。北海道で思い出すことは、札幌の三平味噌ラーメン、函館山の夜景、小樽運河と寿司。あれから22年後の車窓から見る昼間の日本海はきらきら光り遠くに見える水平線は私に天幸をもたらせてくれた。
8月27日の朝、庭の水やりをした後いつものようにウッドデッキに備え付けのテーブルに座って日本経済新聞を読んでいるときに文化欄に黛まどかさんの態度価値と言うエッセーに目が留まった。私は態度価値なるものを恥ずかしながら知らなかった。そこで私は態度価値について調べてみた。
ウィキペディアによると態度価値は、ヴィクトール・フランクルの用語でフランクルによれば人間が実現できる価値は創造価値、体験価値、態度価値の3つに分類される。創造価値とは、人間が行動したり何かを作ったりするときに実現できる価値である。体験価値は人間が何かを体験することで実現できる価値のことで芸術を鑑賞したり、自然の美しさを体験したり、あるいは人を愛したりすることでこの価値は実現できる。態度価値とは、人間が運命を受け止める態度によって実現される価値である。病や貧困やその他の様々な苦痛の前で活動の自由を奪われ、楽しみが奪われたとしても、その運命を受け止める態度を決める自由が人間に残されている。まさにこれこそ人間の尊厳だ。フランクルはナチスの強制収容所を生き延びた心理学者でその時の体験を書いた「夜と霧」は世界的ベストセラーになっている。その中でフランクルは「極めて厳しい状況でもまた人生最後の瞬間においても、生を意味深いものにする可能性が豊かに開かれている。」と述べている。
黛さんのエッセーに次のような記述があったので紹介しよう。戦禍のウクライナに俳句を詠む若い女性がいる。彼女は今もハルキウの地下壕に留まっている。この戦争を俳句で世界に訴えるために。
「苦渋に満ちた状況と運命がもたらした己の真価を発揮する機会を生かしたか。」このフランクルの言葉は大多数の人が思い描いていることであるお金を沢山稼いでそして贅沢な暮らしをし、大きな家で快適な生活を望む現代の私達への警鐘なのであろうか。